魅力ある授業とは魅力ある授業とは

「魅力ある授業」を「子供の主体性と探究心を育む授業」と定義し、その構築に向けて、デジタルドリルの効果的な取り入れ方を探りました

 本県は、全国学力・学習状況調査(以下「全国学調」)の算数・数学において、全国平均正答率とのかい離が続いています。令和6年度の結果では、小学校で全国平均とのかい離が4.4ポイント、中学校で2.5ポイントに達しています。これは単に、知識の定着だけでなく、資質・能力を育む「深い学び」の実現に依然として課題があることを示唆しています。

 こうした課題を解決するため、私たちは教育工学の知見に基づく研究と、学校での実践を通じた検証に基づき、AI機能を搭載したデジタルドリルを最大限に活用する授業の枠組みを構築しました。

 具体的には、デジタルドリルによって「知識・技能の獲得(できる)」を効率化・個別最適化し、確実な定着を図ります。これによって捻出された時間を、「概念理解(わかる)」や、実生活への活用を促す「汎用的能力(使える)」といった思考活動に充てる指導体系を提案し、その有効性を検証しています。

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研究報告書

本研究の理論的基盤 <知識の3層構造とデジタルドリルの関係>

 

 本研究は、石井英真氏(京都大学)が提唱する「知識の3層構造」を理論的基盤としています。

 デジタルドリルを活用した深い学びの実現には、次の2つの領域を分離することが重要であると考えています。

①デジタルドリルが強みを発揮できる領域
・「知識・技能の獲得と定着(できる)」は、デジタルドリルの強みである反復学習や即時フィードバックが最も効果を発揮します。

②教師による介入が不可欠な領域
・より高次な思考や活用を伴う「概念・意味理解(わかる)」「汎用的能力(使える)」の層においては、教師による指導やパフォーマンス課題を通じた対話的・探究的な活動を重視します。

参考資料
・西岡加名恵・石井英真・久富望・肖瑶(2022)「デジタル化されたドリルの現状と今後の課題-算数・数学に焦点を合わせて-」京都大学大学院教育学研究科紀要 第68号
・石井英真(2020)『授業づくりの深め方-「よい授業」をデザインするための5つのツボ-』ミネルヴァ書房


 

デジタルドリルを単元全体に効果的に位置付ける単元設計のポイント

 単元設計には次の2つのポイントが重要であると考えています。

①ゴールから逆算した単元設計
・「単元の学びを通して目指す子供の姿」をゴールに据え、その実現に向けた「単元を貫く問い」を設定しています。
・単元学習後の資質・能力の変容を評価するため、「単元末テスト」「パフォーマンス課題」を配置しています。
・特に、パフォーマンス課題の質を担保し、基本的な知識・技能を確実に定着させるため、授業内と授業外でデジタルドリルを効果的に位置付けています

②単元に入る前の子供の実態把握
・デジタルドリルのアセスメント機能を活用したレディネステストを実施・分析し、子供たちが抱く学習前の考え(素朴概念)を詳細に把握します。
・この結果は、授業者による指導内容の個別化や、単元を通したアプローチの最適化を図るための重要なエビデンスとなります。

 本研究では、この単元設計のポイント①、②を基盤として単元計画を立案しました。デジタルドリルを学習過程のどこに位置付けるかを明確にするとともに、 「4段階教授モデル(4つのステップ)」に基づいた具体的な学習プロセスを提示します。