小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.66,67
(中)p.64,65

主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること

内容項目 小学校「自然愛護」
内容項目 中学校「自然愛護」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接すること。
小学校中学年 自然のすばらしさや不思議さを感じ取り,自然や動植物を大切にすること。
小学校高学年 自然の偉大さを知り,自然環境を大切にすること。
中学校 自然の崇高さを知り,自然環境を大切にすることの意義を理解し,進んで自然の愛護に努めること。

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
C-(18)
 この段階においては,特に身近な自然の中で楽しく遊んだり,自然と親しんだりする活動を行うことが多い。また,生活科の学習などを通して動物の世話や飼育をしたり,植物の栽培や観察などを根気よく丁寧に行ったりしながら,自然や動植物などと直接触れ合う多くの体験をしている。 指導に当たっては,児童のこうした活動や体験を通して,自然に親しみ動植物に優しく接しようとする心情を育てることが求められる。自然や動植物のもつ不思議さ,生命の力,そして,共に生きていることのいとおしさなどを自然や動植物と触れ合うことを通して実際に感じることによって,自然や動植物を大事に守り育てようとする気持ちが強く育まれる。
小学校中学年
C-(19)
 自然に親しみながら自然のもつ美しさやすばらしさを感得できるようにする必要がある。それらを踏まえて,身近なところから少しずつ自分たちなりにできることを,動植物と自然環境との関わりを考え実行しようとする意欲を高めることも大切である。
小学校高学年
C-(20)
 自然環境と人間との関わりから,人間の生活を豊かにすることを優先し,十分な思慮や節度を欠いて自然と接してきたことに気付かせたい。その上で,人間も自然の中で生かされていることを自分の体験を基に考えられるようにすることが必要である。人間と自然や動植物との共存の在り方を積極的に考え,自分にできる範囲で自然環境を大切にし,持続可能な社会の実現に努めようとする態度を育むことが望まれる。
中学校
C-(20)
 まず,例えば,すばらしい自然風景・絶景との出会いを振り返り,そこでの感動や不思議に思ったことなどの体験を生かして,人間と自然との関わりを多面的・多角的に捉え,自然を愛し,守ることといった環境の保全を通して,有限な人間の力を越えたものを謙虚に受け止める心を育てることが求められる。
 さらに,高等学校段階への発展を踏まえて,自然を美の対象としてだけではなく,畏敬の対象として捉えさせることが大切である。その際,阪神・淡路大震災,東日本大震災などの災害の事実の理解から自然に対する人間の有限性を考えさせるなど,事実や事象の知的な理解を基にしながら,自然の中で生かされていることを謙虚に受け止める感性を高めることに留意する必要がある。そのことが,自然を外から制御する者となって保護するという自然への対し方ではなく,一人一人が自然との心のつながりを見いだし同行する者として生きようとする自然への対し方につながり,持続可能な開発目標(SDGs)のための教育でも求められる,現在及び未来の自然環境の課題に取り組むために必要な心を育てることになる。