小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.62,63
(中)p.60,61

主として集団や社会との関わりに関すること

内容項目 小学校「国際理解,国際親善」
内容項目 中学校「国際理解,国際貢献」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年 他国の人々や文化に親しむこと。
小学校中学年 他国の人々や文化に親しみ,関心をもつこと。
小学校高学年 他国の人々や文化について理解し,日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。
中学校 世界の中の日本人としての自覚をもち,他国を尊重し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に寄与すること。

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
C-(16)
 まず,身近な出来事や書籍,衣食住の中にある他国の文化に気付いたり,スポーツや身近な行事などを通じた他国との交流に触れたりしながら,他国の人々に親しみをもったり,自分たちと異なる文化のよさに気付いたりできるようにすることが大切である。そして,他国の人々と交流したり,文化を味わったりしたことを互いに出し合ったり深めたりしながら,更に他国を知り,親しもうとする気持ちが高まるように工夫することが大切である。
小学校中学年
C-(17)
 児童の様々な生活や学習において,更に関心をもって他国の人々や他国の文化に気付き,郷土や自国の文化と他国の文化との共通点や相違点などにも目を向けられるようにすることが大切である。その上で,それぞれのよさを感じ取らせることが求められる。また,他国の人々もそれぞれの文化に愛着をもって生活していることを理解させるなどして,更に他国の文化に関心や理解を深めさせ,親しませることが大切である。また,自国の文化と他国の文化のつながりや関係にも目を向けさせることが大切である。
小学校高学年
C-(18)
 この段階においては,特に社会的認識能力が発達し,日常生活において新聞などのマスメディアに接することや社会科,外国語活動等で学習することによって,例えば,我が国と同様,他国にも国旗や国歌があり,相互に尊重すべきことなどを知る中で,他国への関心や理解が一層高まる。また,様々な学習において,他国の芸術や文化,他国の人々と接する機会も出てくる。 指導に当たっては,そのことを踏まえ,様々な文化やそれに関わる事柄を互いに関連付けながら国際理解を深め,国際親善に努めようとする態度を育てることが重要である。その際,他国の人々が,我が国と同じようにそれぞれの国の伝統と文化に愛着や誇りをもって生きていることについて一層理解が進むようにすることが大切である。また,日本人としての自覚や誇り,我が国の伝統と文化を理解し,尊重する態度を深めつつ,自分にできることを考えるなどして,進んで他国の人々とつながり,交流活動を進めたりより親しくしたりしようとする国際親善の態度を養うことが求められる。
中学校
C-(18)
 まず,他国には日本と同じように,その国の伝統に裏打ちされたよさがあることや,例えば,我が国と同様,他国にも国旗や国歌があり,相互に尊重すべきことなどを学習する中で,その国独自の伝統と文化に各国民が誇りをもっていることなどを理解させることが大切である。その際,伝統や文化は,人間としての共通の願いから形成されてきているという理解に立って,他国の人々や異文化に対する理解と尊敬の念が重視されなければならない。その上で,様々な文化のもつ多様性の尊重や価値観の異なる他者との共生などについても考えを深める必要がある。今後ますますグローバルな相互依存関係の中で生きていく中学生にとって,広く世界の諸情勢に目を向け,国際社会で生きる能力を身に付けることはこれまで以上に必要となる。そうした社会の変化に能動的に対応できるとともに,国際社会において自らの役割と責任を果たすことができる日本人となることが求められる。
 さらに,世界の平和と人類の発展に貢献するという理想を抱き,その理想の実現に努めることが大切である。その理想の実現のための基本になるのは,国によってものの感じ方や考え方,生活習慣などが違っても,どの国の人々も同じ人間として尊重し合い,差別や偏見をもたずに公正,公平に接するということであり,このことは,日本人だけに求められるものではない道徳的価値である。
 なお,宗教が社会で果たしている役割や宗教に関する寛容の態度などに関しては,教育基本法第15条の規定を踏まえた配慮を行うとともに,宗教について理解を深めることが,自ら人間としての生き方について考えを深めることになるという意義を十分考慮して指導に当たることが必要である。