小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.60,61
(中)p.58,59

主として集団や社会との関わりに関すること

内容項目 小学校「伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度」
内容項目 中学校「我が国の伝統と文化の尊重,国を愛する態度」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年 我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと。
小学校中学年 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,国や郷土を愛する心をもつこと。
小学校高学年 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつこと。
中学校 優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに,日本人としての自覚をもって国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展に努めること。

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
C-(15)
 児童が住む町の身近な自然や文化などに直接触れる機会を増やしたり,そこに携わる人々との触れ合いを深めたりすることで国や郷土への愛着を深め,親しみをもって生活できるようにすることが大切である。
小学校中学年
C-(16)
 地域の人々や生活,伝統,文化に親しみ,それを大切にすることを通して,郷土を愛することについて考えさせ,地域に積極的に関わろうとする態度を育てることが必要である。さらに,自然や文化,スポーツなどへの関心も高まり,郷土から視野を広げて,我が国の伝統と文化について理解を深めるようになる。そこで,様々な活動を通して我が国の伝統と文化に関心をもち,これらに親しむ気持ちを育てるように指導することが必要である。
小学校高学年
C-(17)
 機会を捉えて我が国の伝統や文化などを話題にしたり,直接的に触れたりする機会を増やすことを通してそのよさについて理解を深めることが求められる。このことを通して,伝統や文化を育んできた我が国や郷土を受け継ぎ発展させていくべき責務があることを自覚し,努めていこうとする心構えを育てる必要がある。
中学校
C-(17)
 まず,我が国の発展に尽くし優れた伝統と文化を育んできた先人たちの努力とその精神をたどり,そのよさを理解して継承するとともに,新たな文化を創造してその発展に寄与していく責務があることを自覚し,国家及び社会の形成者として,そのことに努めていこうとする意欲と態度を育てる必要がある。そのためには,人間が既にそうした伝統や文化の中に身を置いて生きており,また身をもってそれらを理解する働きを通して先人たちと対話し,新たな伝統や文化を形成してきたことを踏まえる必要がある。
 さらに,次の内容項目の「国際理解,国際貢献」との関わりをも踏まえて,国際社会と向き合うことが求められている我が国の一員としての自覚に関する内容や,国際社会との関わりについて考えを深めることも求められる。グローバル化や情報通信技術などが進展すればするほど,日本人としての自覚をもつことが大切になってくる。
 なお,その際,国を愛することは,偏狭で排他的な自国賛美ではなく,国際社会と向き合うことが求められている我が国の一員としての自覚と責任をもって,国際貢献に努めようとする態度につながっている点に留意する必要がある。そのためにも,国を愛することと,次の内容項目の「国際理解,国際貢献」とは切り離せない関係にあることに配慮した指導が大切である。