小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.50,51
(中)p.44,45

主として集団や社会との関わりに関すること

内容項目 小学校「規則の尊重」
内容項目 中学校「遵法精神,公徳心」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年 約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にすること。
小学校中学年 約束や社会のきまりの意義を理解し,それらを守ること。
小学校高学年 法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り,自他の権利を大切にし,義務を果たすこと。
中学校 法やきまりの意義を理解し,それらを進んで守るとともに,そのよりよい在り方について考え,自他の権利を大切にし,義務を果たして,規律ある安定した社会の実現に努めること。
      

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
C-(10)
 身近な約束やきまりを取り上げ,それらはみんなが気持ちよく安心して過ごすためにあることを理解し,しっかりと守ろうとする意欲や態度を育てることが大切である。また,みんなで使う物や場所を進んで大切にし,工夫して使いたいという判断力や態度を身に付けられるように指導することが必要である。
小学校中学年
C-(11)
 一般的な約束や社会のきまりの意義やよさについて理解し,それらを守るように指導していくことが大切である。さらに,社会集団を維持発展する上で,社会生活の中において守るべき道徳としての公徳を進んで大切にする態度にまで広げていく必要がある。特に,集団生活をする上で,一人一人が相手や周りの人の立場に立ちよりよい人間関係を築くことや,集団の向上のために守らなければならない約束やきまりを十分考えることが必要である。
小学校高学年
C-(12)
 社会生活を送る上で必要であるきまりや,国会が定めるきまりである法(法律)などを進んで守り従うという遵法の精神をもつところまで高めていく必要がある。また,他人の権利を理解,尊重し,自分の権利を正しく主張するとともに,義務を遂行しないで権利ばかりを主張していたのでは社会は維持できないことについても具体的に考えを深め,自分に課された義務についてはしっかり果たそうとする態度を育成することが重要である。また,身近な集団生活を送る上においても,みんなで互いの権利を尊重し合い,自らの義務を進んで果たすことが大切であるという理解と積極的な行動ができるようにする必要がある。
中学校
C-(10)
 まず,法やきまりは自分自身や他者の生活や権利を守るためにあり,それを遵守することの大切さについての自覚を促すことが求められる。自他の権利を大切にし,義務を果たすことで,互いの自由意志が尊重され,結果として規律ある安定した社会が実現することを理解した上で,社会の秩序と規律を自ら高めていこうとする意欲を育て,日々の実践に結び付ける指導が必要である。その際,法やきまりを守ることは,自分勝手で放縦な反発等に対してそれらを許さないという意思をもつことと表裏の関係にある。
 さらに,法やきまりの他律的な捉え方を越えて,「尊重したいから守る」という自律的な捉え方ができるようになるため,遵法精神には,「自分を裏切らない」という自尊心と,目の前の相手の心情に思いを巡らせ,外見からはうかがい知れない人の心情を想像できる思いやりの心が関わっていることに気付かせる指導が求められる。また,高等学校段階への発展を踏まえて,自分たちを拘束すると感じる法やきまりが自分たちを守るだけでなく,自分たちの社会を安定的なものにしていることを考えさせ,よりよいものに変えていこうとするなど積極的に法やきまりに関わろうとする意欲や態度を育てるとともに,権利と義務の関係について,例えば法的に強制力のない義務を果たすことが理性的な人間としての生き方につながることを考えさせるなど,公徳心に関わる道徳性を意識した指導の工夫が必要である。これらのことを踏まえて,自分たちが社会の構成員の一人であることの意識をもちながら,「私」を大切にする心と「公」を大切にする心の関係について考えを深めさせることが望まれる。