小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.46,47
(中)p.40,41

主として人との関わりに関すること

内容項目 小学校「友情,信頼」
内容項目 中学校「友情,信頼」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年 友達と仲よくし,助け合うこと。
小学校中学年 友達と互いに理解し,信頼し,助け合うこと。
小学校高学年 友達と互いに信頼し,学び合って友情を深め,異性についても理解しながら,人間関係を築いていくこと。
中学校 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
      

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
B-(9)
 特に身近にいる友達と一緒に,仲よく活動することのよさや楽しさ,助け合うことの大切さを実感できるようにすることが重要である。また,友達とけんかをしても,友達の気持ちを考え,仲直りできるようにする。そのためには,友達と一緒に活動して楽しかったことや友達と助け合ってよかったことを考えさせながら,友達と仲よくする大切さを育んでいくようにする必要がある。
小学校中学年
B-(9)
 友達のことを互いによく理解し,信頼し,助け合うことで,健全な仲間集団を積極的に育成していくことが大切である。そのためには,友達のよさを発見することで友達のことを理解したり,友達とのよりよい関係の在り方を考えたり,互いに助け合うことで友達の大切さを実感したりすることができるように指導することが大切である。
小学校高学年
B-(10)
 健全な友達関係を育てていくことが一層重要になる。この段階が第二次性徴期に入るため,異性に対する関心が強まり,これまでとは異なった感情を抱くようになる。この異性間の在り方も根本的には同性間におけるものと同様,互いの人格の尊重を基盤としている。異性に対しても,信頼を基にして,正しい理解と友情を育て,互いのよさを認め,学び合い,支え合いながらよい関係を築こうとすることに配慮して指導することが大切である。
中学校
B-(8)
 まず,友情は互いの信頼を基盤とする人間として最も豊かな人間関係であること,互いの個性を認め,相手への尊敬と幸せを願う思いが大切であることを理解させたい。友達であるからこそ,悩みや葛藤を経験し,共にそれを乗り越えることで,生涯にわたり尊敬と信頼に支えられた友情を築くことができることへの自覚が重要である。友情は,人間にとってその人生を豊かにするかけがえのないものである。友情によって喜びは何倍にもなり,悲しみや苦しみは分かち合うことができる。人間として互いの人格を尊敬し高め合い,悩みや葛藤を克服することで,より一層深い友情を構築していこうとする意欲や態度を育んでいくことが肝要である。
 さらに,自分から友情を築くための共通の課題について考えを深めたり,互いの正しい理解によってより豊かな人間関係が築かれることに気付いたりするための工夫が望まれる。そして,自ら友情を大切にし,育てようとする態度を育てることや,信頼を基盤として成り立つ友情が人間として生きる上で,いかに尊いものであるかを実感できるよう指導を工夫する必要がある。異性であっても,相手のものの見方や考え方を理解するなど,友情を築き,共に成長しようとする姿勢が求められる。各自の異性に対する姿勢を見直すきっかけとなるよう指導することも必要である。相手の内面的なよさに目を向け,相手の成長を心から願って互いに励まし合い,忠告し合える信頼関係のよさを味わわせたい。また,友情を培うために自分はどうあればよいか,友情とは何か,などについて発達の段階に応じて意見を交換し合うなど,発展的な指導を心掛けることも重要である。