小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.48,49
(中)p.42,43

主として人との関わりに関すること

内容項目 小学校「相互理解,寛容」
内容項目 中学校「相互理解,寛容」

  

発達段階に応じた指導

小学校中学年 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,相手のことを理解し,自分と異なる意見も大切にすること。
小学校高学年 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を尊重すること。
中学校 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解し,寛容の心をもって謙虚に他に学び,自らを高めていくこと。
      

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
 
小学校中学年
B-(10)
 相手の言葉の裏側にある思いを知り,相手への理解を深め,自分も更に相手からの理解が得られるように思いを伝える相互理解の大切さに気付くようにすることが大切である。日常の指導においては,児童同士,児童と教師が互いの考えや意見を交流し合う機会を設定し,異なる考えや意見を大切にすることのよさを実感できるように指導することが大切である。
小学校高学年
B-(11)
 広い心で自分と異なる意見や立場を尊重することで,違いを生かしたよりよいものが生まれるといったよさや,相手の過ちなどに対しても,自分にも同様のことがあることとして謙虚な心,広い心で受け止め,適切に対処できるように指導することが大切である。
中学校
B-(9)
 まず,個性とは何かについて正しく理解するとともに,自らの意志に背いて他に同調するのではなく,自分の考えや意見を伝えること,そして互いの個性や立場を尊重し,広い視野に立っていろいろなものの見方や考え方があることを理解しようとする態度を育てることが大切である。中学生は,他者の考えや立場を尊重し調和して生活していかなければならないと知っているが,その一方で,寛容に生きていくための処世の術のように理解していないか,問わなくてはならない。寛容は,他人の過ちを大目に見たり,見て見ぬふりをしたりすることではない。他人の過ちを許すことは,他人の不正を許すことではないのである。
 さらに,いろいろなものの見方や考え方から学び,自分自身を高め,他者と共に生きるという自制を伴った気持ちで,判断し行動することの大切さを理解できるような指導の工夫が必要になる。このような指導を通して,例えばいじめや不正を見逃さず,排除しようとする主張や不正を指摘する資質や能力を培うことにつなげることができる。この内容項目の学習を通して,人間が相互に個性や立場を尊重することが,自分の人生にとってどのような価値をもつのか考えるとともに,誰もが様々な立場に立って個性を発揮することのよさと,相手や場面が変わっても,寛容の心をもち謙虚に他に学ぶことが人間としての成長に役立つことを理解できるようにすることが大切である。