小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.40,41
(中)p.36,37

主として人との関わりに関すること

内容項目 小学校「親切,思いやり」
内容項目 中学校「思いやり,感謝」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年 身近にいる人に温かい心で接し,親切にすること。
小学校中学年 相手のことを思いやり,進んで親切にすること。
小学校高学年 誰に対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にすること。
中学校 思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
B-(6)
 幼い人や高齢者,友達など身近にいる人に広く目を向けて,温かい心で接し,親切にすることの大切さについて考えを深められるようにすることが必要である。そして,身近にいる様々な人々との触れ合いの中で,相手のことを考え,優しく接することができるようにすることが求められる。また,その結果として相手の喜びを自分の喜びとして受け入れられるようにし,具体的に親切な行為ができるようにすることが大切である。
小学校中学年
B-(6)
 相手の置かれている状況,困っていること,大変な思いをしていること,悲しい気持ちでいることなどを自分のこととして想像することによって相手のことを考え,親切な行為を自ら進んで行うことができるようにしていくことが大切である。 
小学校高学年
B-(7)
 特に相手の立場に立つことを強調する必要があり,自分自身が相手に対してどのように接し,対処することが相手のためになるのかをよく考えた言動が求められる。また,人間関係の深さの違いや意見の相違などを乗り越え,思いやりの心とそれが伴った親切な行為を,児童が接する全ての人に広げていくことも大切である。そのためには,児童が多様な人々と触れ合い,助け合って何かをするような機会を増やすとともに,それらの体験を生かし,思いやりの心をもつことの大切さについて深く考えられるように工夫する必要がある。
中学校
B-(6)
 まず,単に思いやりの大切さに気付かせるだけでなく,根本において自分も他者も,共にかけがえのない存在であるということをしっかり自覚できるようにすることが大切である。そして,思いやりや感謝の気持ちを言葉にして素直に伝えようとする心が,今自分が相手に対して何をもって応答することができるかを考えさせ,結果として自己と他者との心の絆をより強くするのだということに気付かせたい。
 さらに,重荷にならないようにという配慮がなされた思いやりに気付くことは,決して容易なことではない。これらのことを踏まえた上で,互いに支え合う経験を積みながら,温かい人間愛の精神に基づく体験の機会を生かし,人間として生きることに喜びを見いだすとともに,思いやりと感謝の心と態度が育まれていくよう工夫する必要がある。なお,感謝の心は,他者との関わりに始まり,多くの社会の人々への感謝,さらには自然の恵みへの感謝へと次第に広がっていくものである。したがって,Cの視点やDの視点との関連を図りつつ指導する必要がある。