小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.30,31
(中)p.26,27

主として自分自身に関すること

内容項目 小学校「正直,誠実」
内容項目 中学校「自主,自律,自由と責任」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年うそをついたりごまかしたりしないで,素直に伸び伸びと生活すること。
小学校中学年過ちは素直に改め,正直に明るい心で生活すること。
小学校高学年誠実に,明るい心で生活すること。
中学校自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
A-(2)
 うそやごまかしをしないで明るい心で楽しく生活することの大切さを押さえておくことは,児童が成長の過程で健康的な自己像を確立していくためにも大切なことである。
小学校中学年
A-(2)
 正直であるからこそ,明るい心で伸び伸びとした生活が実現できることを理解し,この段階の活動的な特徴を生かしながら,児童それぞれが元気よく生活できるようにしていくことが望まれる。
小学校高学年
A-(2)
 一人一人の誠実な生き方を大切にしながら,みんなと楽しい生活ができるようにしていくことが大切である。一方で,よくないことと知りつつも自分の意に反して周囲に流されてしまうことや傍観者として過ごしてしまうことは,決して心地のよいものではなく,後ろめたさから,誇りや自信を失ってしまうことにつながることを考えられるように指導することが必要である。
中学校
A-(1)
 小学校における指導内容を更に発展させ,より高次の自立心や自律性を高め,規律ある生活をしようとする心を育てることが必要である。中学校ではまず,自己の気高さに気付かせ,何が正しく,何が誤りであるかを自ら判断して望ましい行動をとれるようにすることが大切である。日常のどのような小さな行為においても,自ら考え,判断し,自分の自由な意志に基づいて決定し,それに対して責任をもたなければならないことを実感させる必要がある。そうした経験を通し,失敗も含めて自己の責任において結果を受け止めることができるようになる。
 さらに,悪を悪としてはっきり捉え,それを毅然として退け善を行おうとする良心の大切さに気付くようにしなければならない。良心に基づくよい行為とは,自分にとっても他者にとってもよい行為である。この意味で,善悪判断の基準となる多面的なものの見方や考え方を身に付けることの重要性に気付き,自分の行為の動機の純粋さにとどまらず,その行為が及ぼす結果についても深く考えられるようにすることが必要である。自由を放縦と誤解してはならず,自らを律し,自分や社会に対して常に誠実でなければならないことを自覚し,人間としての誇りをもった,責任ある行動がとれるように指導することが大切である。