小・中学校学習指導要領
(平成29年告示)解説
(小)p.28,29
(中)p.26,27

主として自分自身に関すること

内容項目 小学校「善悪の判断,自律,自由と責任」
内容項目 中学校「自主,自律,自由と責任」

  

発達段階に応じた指導

小学校低学年よいことと悪いこととの区別をし,よいと思うことを進んで行うこと。
小学校中学年正しいと判断したことは,自信をもって行うこと。
小学校高学年自由を大切にし,自律的に判断し,責任のある行動をすること。
中学校自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。

小学校・中学校学習指導要領解説 (2)指導の要点の一部抜粋

 
指導に当たって
小学校低学年
A-(1)
 積極的に行うべきよいことと,人間としてしてはならないことを正しく区別できる判断力を養うことが大切である。また,よいと思ったことができたときのすがすがしい気持ちを思い起こさせるなどして,小さなことでも遠慮しないで進んで行うことができる意欲と態度を育てる指導を充実していくことが大切である。また,身近な事例を踏まえ,人としてしてはならないことをしないことについて,一貫した方針をもち,毅然とした態度で指導していくことが重要である。
小学校中学年
A-(1)
 正しいことを行えないときの後ろめたさや,自ら信じることに従って正しいことを行ったときの充実した気持ちを考え,正しいと判断したことは自信をもって行い,正しくないと判断したことは行わないようにする態度を育てる必要がある。特に,正しくないと考えられることを人に勧めないことはもとより,人から勧められたときにきっぱりと断ったり,正しくないと考えられることをしている人を止めたりできるように指導することが大切である。
小学校高学年
A-(1)
 自由と自分勝手の違いや,自由だからこそできることやそのよさを考えたりして,自由な考えや行動のもつ意味やその大切さを実感できるようにすることが大切である。また,自由に伴う自己責任の大きさについては,自分の意志で考え判断し行動しなければならない場面やその後の影響を考えることなどを通して,多面的・多角的に理解できるようにすることが重要である。そのことが,自らの自律的で責任のある行動についてのよさの理解を一層深めることにつながる。
中学校
A-(1)
 小学校における指導内容を更に発展させ,より高次の自立心や自律性を高め,規律ある生活をしようとする心を育てることが必要である。中学校ではまず,自己の気高さに気付かせ,何が正しく,何が誤りであるかを自ら判断して望ましい行動をとれるようにすることが大切である。日常のどのような小さな行為においても,自ら考え,判断し,自分の自由な意志に基づいて決定し,それに対して責任をもたなければならないことを実感させる必要がある。そうした経験を通し,失敗も含めて自己の責任において結果を受け止めることができるようになる。
 さらに,悪を悪としてはっきり捉え,それを毅然として退け善を行おうとする良心の大切さに気付くようにしなければならない。良心に基づくよい行為とは,自分にとっても他者にとってもよい行為である。この意味で,善悪判断の基準となる多面的なものの見方や考え方を身に付けることの重要性に気付き,自分の行為の動機の純粋さにとどまらず,その行為が及ぼす結果についても深く考えられるようにすることが必要である。自由を放縦と誤解してはならず,自らを律し,自分や社会に対して常に誠実でなければならないことを自覚し,人間としての誇りをもった,責任ある行動がとれるように指導することが大切である。